cuemol2/Anim_MolMorphCueMol: Molecular Visualization Framework |
分子の構造変化(morphing)異なる構造をもつ2つの同一分子間の変化(変形=morphing)をアニメーションとして表示する場合に使用します. CueMol2.2では,線形補間によるmorphingが使用できます. 線形補間によるmorphingでは,localなconformation changeをアニメーションすることが可能です. 本項目で説明するSample scene fileが以下からダウンロードできます.
前準備ここでは,transducin-alphaのGTP bound form (1TND) とGDP bound form (1TAG) 間の構造変化を例に説明します. この2つの構造は分子としてはほとんど同じですが,各々PDBファイルに含まれる分子の位置が違ってしまっているため, まず両者を重ね合わせたPDBファイルを作成する必要があります. この例では,1TAGを1TNDに重ね合わせることとします. ファイルの読み込みと重ね合わせまず,1TAG, 1TND両者のファイルを読み込みます.PDBのサイトからダウンロード後「Open File...」から読み込んでも良いですし,「Get PDB using accession code...」を使用して直接PDBのサイトから読み込んでも構いません.(Documents/GUIのチュートリアル(CueMol2)/Step1参照) 1TAGは1つのchain(A)のみですが,1TNDは3つのchain (A,B,C)を含んでいます.1TAGは分子全体を,1TNDはchain Aに対してのみtrace rendererで表示させます. 次に,cuemol2/MolSuperposeの「Secondary Structure Matching」に従って,2つの分子を重ね合わせます. 1TAGをmovingに,1TNDをreferenceに設定し,1TNDのselectionに「c;A」を指定して, 重ね合わせを実行すると以下の図のようになります. 以上が完了したら,動かした方の1TAGをPDBファイルとして保存しておきます.メニュー「File」→「Save File As...」を実行し,1TAGを選択してOKを押し,その後表示されるファイル選択dialogでfile nameを1TAG-fit.pdbとして保存します. MorphMol objectの作成変化の始点となる構造の読み込みまず,変化の始点となる構造を読み込みます. ここでは,すでに読み込まれている1TNDを変化の始点としますので特に操作は必要ありませんが, ディスク上にあるPDBファイルなどを始点とする場合は,先に読み込んでおきます. MolCoordからMolMorph objectへの変換Morphingを行うには,まず,PDBファイルを読み込んで作成されるMolCoord objectを, 線形補間morphingに対応したMolMorph objectに変換する必要があります. メニュー「Tools」→「Mol morhping animation...」を実行すると,以下のようなdialogが表示されますので,MolMorphに変換したいMolCoord objectを選択します. この例では,1TAGと1TNDがリストに表示されていますが,始点の構造の1TNDを選択し,OKボタンを押します. 以上の通り実行すると,以下のようなdialogが表示されます. MolMorph objectへの構造座標の追加以上の操作で,1TNDがMolMorph objectへ変換されました. 上記のdialogでは,MolMorph objectが保持している座標データの一覧が表示されています. 現在1つの座標データから変換して作成した直後なので,項目は1つ(this)しかありません. 次に,構造変化の終点に対応する座標1TAG-fitを追加します. 上記のdialogの「+」ボタンを押すと,ファイル選択dialogが表示されますので, 上記で重ね合わせ後保存しておいた,1TAG-fit.pdbを指定し読み込ませます. すると,以下のように終点に対応する座標の項目が追加されます. 終点の追加が完了したら,OKボタンを押してdialogを閉じます. MorphMol objectの編集MorphMol objectに保持されている座標データの編集をさらに行う場合は, メニュー「Tools」→「Mol morhping animation...」を実行すると,再び上記と同様のdialogが表示されます. さらに座標を追加する場合は「+」を,不要な座標を削除する場合は項目を選択して「−」ボタンを押せば削除することが出来ます. アニメーションの作成アニメーションの追加以上でmorphingを行う準備ができました. 次は実際にどのタイミングでどの程度の時間をかけてmorphingを行うかを,Animation panelから指定します. 上図のAnimation panelの「+」ボタンを押し,「Mol Morphing」を選択すると, 以下のような設定dialogが表示されます. この例では,0秒から1秒かけて始点から終点へと変形させるアニメーションを作成します. まずStart timeが0:0:0.0に,Durationが0:0:1.0になっていることを確認し, Target MorphMolの項目で,上記で変換・作成した1TNDを選択します. MolAnim settingsにある他の設定項目の意味は以下の通りになります.
すなわち,Start value=1, End value=0にすると,逆方向の構造変化が起こることになります. OKボタンを押すとanimation itemが追加され,Animation panelは下図のようになります. アニメーションの実行以上でmorphing animationの作成は完了しました. cuemol2/Anim_Basicの「アニメーションの実行」にある方法に従ってアニメーションを再生すると,構造の変形がアニメーションとして表示されます. Chain Aについてリボン表示にし,さらに戻る構造変化(startValue=1→endValue=0)も追加すると, 以下のようなアニメーションになります. 注意点など始点,終点等の分子構造の不一致変化の始点や終点,あるいは中間点の分子座標について,それぞれすべて対応する残基・原子が存在していない場合は,それらの原子はmorhping計算から除外されます. すなわち,(this)で表されるメイン座標に対応する原子が,他のサブ座標に存在しない場合はmorphing animation中その原子は静止したままとなります. 一方,メイン座標に無い原子がサブ座標にあった場合,それらは読み込み時に無視されます. 以上のような実装になっているため,全く同じ分子について異なる状態で決定された構造間のmorphingは簡単にできますが,似ているが異なるホモログ間の変形等は,そのままではうまく行きません. 各分子についてホモロジ―モデリング等でモデル構造を作成し,残基番号などをそろえることで, 正しくmorphingさせることが可能となります. 大きな構造変化線形補間のmorphingでは,非常に大きなドメインレベルでの変化を表現するのは困難ですが, 他のソフトウェアで構造変化の中間構造を何個か作成し, それらを線形補間morphingでつなぎ合わせることでアニメーションを作成することができます. |